生活不活発病とは、文字通り『生活が不活発になり機能低下を引き起こす病気』の事。病理学的には「廃用症候群」と呼ばれています。
筋力や骨、関節、心肺機能などあらゆる身体的な機能の低下を引き起こすだけでなく、それに伴って自律神経や精神の働きの機能も低下してしまうため、意欲が出ず、言葉や表情が乏しくなり、さらに悪循環に陥っていしまいます。
生活不活発病になるきっかけは人それぞれで、風邪をこじらせてしまう、腰痛により動けなくなってしまう、骨折してしまう、手術を受けるため入院をするなど、様々な要因があります。それ以外にも、子どもの家に同居するために引っ越しをする、介護施設へ入居するなど、人的環境や物理的環境の変化に関連があると考えられています。環境の変化に伴い、高齢者自身が周りに遠慮をする事で、さらに生活不活発病は進んでしまいます。
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年には、高齢者人口が3500万人(人口比約30%)に達するとされています。今回、運動器具の開発に取り組んだのは、少しでも元気な高齢者が増えてほしいという願いから、運動器具のプロトタイプの作成を行いました。
この運動器具は片手で保持できる器具で、グリップがフレームに沿って回転します。その回転にバネによる負荷がかかるため、突起部分で肩や腰をマッサージをしながら腕の筋力を鍛える運動が出来ます。
腕の筋力を鍛える事が主目的ですが、それ以上に、高齢者に自分が運動しているという気持ちを持って頂く事に大きな期待をしています。生活が不活発になる一番の理由は、『することがない』事です。簡単な運動を継続的に続けてもらい、少しでも寝たきりになる人を少なくする目的で運動器具を開発しました。特許技術(2009-261870)を応用しています。
試作品は、3Dプリンタで作成しており、グリップ部や突起部を複数パーツ用意しました。これにより、掴みやすい持ち手やマッサージしやすい形状を選んで頂く事が可能となります。また、バネの張力を変える事によって、様々な筋力のご高齢者に対応します。
データ作成期間 約2週間(12パーツ)
3Dプリント出力時間 約28時間(10パーツ)※2パーツはDMM.MAKEに依頼
サポート材の除去・組み立て 約3時間
フィラメント・金属パーツ費用 3,020円
DMM 3Dプリントサービスに依頼した2パーツの費用 14,870円
※グリップ部、突起部は1パーツのみで試算
参考文献
1.大川弥生(2013)『「動かない」と人は病む-生活不活発病とは何か』 講談社現代新書.
2.廃用症候群(生活不活発病)になりやすい | 高齢者についての基礎知識 | 介護の基本 ~ 介護応援ネット:http://kaigoouen.net/knowledge/senior/senior_6.html
3.DSPC – 2025年問題とは?図とグラフで見る高齢者人口・認知症・介護認定数・死亡者数、2050年問題:http://dspc2007.com/2025.html